「身土不二」香川正弘　上智大学名誉教授・全日本大学開放推進機構理事長

身土不二

香川 正弘
上智大学名誉教授・全日本大学開放推進機構理事長

　私は大学で「生涯学習」、即ち「大人の学び」ということを研究し教えてきました。個人の研究はイギリス研究ですが、日本で「大人の学び」というのを考えるには、それぞれの「地域の歴史と文化」というのを知らないと、考えることもできないと気づき、遅まきながら全国各地を巡検して廻りました。

　その時、特に注目してきたことは、社寺とお城ですが、これらの歴史的遺物を通して地域の人々の「心の拠り所」 を見るようにしてきました。また代々その地域に住む人は、その 土地の天と地の霊気が籠もってその人の魂を形作り、「身土不二」 で三里四方のものを食べて体を作っていると思い、その土地が生出した武将、政治家、文人、産業人などの郷土の偉人を注意して理解しようとしました。

　当機構の理事である林氏に親しくしてもらい、上のような観点から岐阜の各地を訪ねさせてもらい、岐阜の人々の郷土愛の高さと強さには、しばしば驚くことが多くありました。名所旧跡という歴史的遺物だけでなく、自分たちの先祖に生き方の見本がある土地というのは、幸せなことだと思います。これからも、いろんな郷土の偉人を掘り起こしてその生き方に学び、大人も子どもも、 先祖に負けぬようにがんばる精神を持つことだろうと思います。金華・岐阜はそれが期待できるところです。