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ホーム›金華日々徒然› 金華まち協だより・オピニオン, 金華の暮らし徒然リレートーク › 「まちづくり協議会」設立の背景と今後の展開を考える 林 憲和 金華自治会連合会副会長・まちづくり協議会事務局長
金華自治会連合会副会長・まちづくり協議会事務局長
林 憲和
「自治会」から「コミュニティ」そして「まちづくり協議会」へ
1960年代には日本は高度成長を経験、都市化・工業化が加速し、農村から都市への人口移動、都市では過密が、農村では過疎が発生した。「隣は何する人ぞ」とよく言われるように、自治会が地域を代表する能力と、共助能力が失われてきた時代といわれる。
現代の地域社会が抱える問題や自治会活動の問題点として以下の6点を挙げる。
NHKスペシャル (2010・H22) で「無縁社会~無縁死 32,000人の衝撃~」はショッキングな報道であった。「身元不明の自殺とみられる死者」や「行き倒れ死」といった国の統計には出てこない新たな死が急増し、そのうち1000人が身元不明のままであるといわれる。
我が国の総人口は2008年にピークとなり、2011年以降継続して減少している。2018年では1臆2642万人で前年と比較すると27万人減少している。
一方、65歳以上の高齢者人口は、1950年以降一貫して増加し、2012年には3000万人を越え、2018年には3557万人となり、前年比44万人の増加となっている。内訳は男性1545万人、女性は2012万人と初めて2000万人を超えた。総人口における高齢者人口の割合は28.1%と過去最高を記録した。
高齢者の多くは地域で元気に暮らしている(高齢者の94%)現状でもある中、 一人暮し 高齢者数については、 1980年に65歳以上の 一人暮し 高齢者数は88万人(男性19万人・女性69人)であったが、2015年には519万人(男性192万人・女性400万人)と35年間で6.7倍の急増である。
そんな中で、 高齢者の孤独死は、年間27,000人あり、看過できないところである。岐阜市の芥見東自治会連合会では、「孤独死をさせない」を合言葉に活動を展開されているほどである。
2015年厚労省の発表によると認知症患者数は2012年時点で462万人、高齢者の7人に一人と推計されている。軽度認知障害者が推計400万人を合せると4人に一人と推計される。団塊の世代が75歳以上となる2025年には、700万人前後に達し、高齢者の5人に一人を占める見込みと言われている。
また、(H21中日新聞) 認知症200万人(当時)の中で、 「介護・看病疲れ」を動機とした介護殺人と言う悲劇が、10年で約400件(うち心中が25%)起き、その加害者の4分の3が男性であり、地域社会との関係が薄く、孤立した生活事情があげられている。
児童虐待は、 (2009・H21) 年間44,000件から、(2018・H30 )約160,000件と増加しており、全国の児童相談所対応件数である。児童虐待防止法により、隣人による通報義務が課せられたことにより認知数が増加。2005・H17 児童福祉法改正され、自治体を事務局として、児童相談所、学校、病院、地域住民組織などで構成する「子どもを守る地域ネットワーク(要保護児童対策地域協議会)」の設置が定められ、48時間以内に子どもの安全確認や保護を行うことになった。虐待をした親の相当数が援助を求めている。
生活保護は、(2010・H22)190万人、137万世帯あり、増加傾向にあり、(2019・H31)では、208万人、163万世帯にのぼっている。
以上のような厳しい社会状況の中での自治会活動であるが、全国的に自治会活動の問題点として以下の傾向があると言われている。
1)地域活動の担い手不足(役員の高齢化や短期間で交代)
2)地域活動への参加者の減少・固定化
3)多様な地域主体との連携・ネットワーク不足
4)多様な地域課題(問題)への対応力の不足
5)組織運営・マネジメント力の不足
6)情報の発信・収集・共有力の不足
先のような状況において、 自治会が地域を代表する能力と、共助能力が失われてきた時代といわれる中、 (1969・S44)に自治省「国民生活審議会調査部会」答申が発表された。この答申では、自治会に代わる地域組織が 「コミュニティ」である と提案された。コミュニティとは、「生活の場において、市民としての自主性と責任を自覚した個人および家庭を構成主体にして、地域性と各種の共通目標をもった、開放的でしかも構成員相互に信頼性のある集団」(国民生活審議会調査部会編 1969:7)と定義された。
つまり国民生活審議会調査部会の報告においては、都市構造の変化によって分断し、無力や孤立を感じていた人々が、再度、共通の目標を持って連帯、協力できる「集団」こそ「コミュニティ」であった。以後、このコミュニティ形成は国家政策化され、自治体ごとに異なる解釈や新しい解釈を加えられながら、現在まで続いている。
(2008・H20)総務相コミュニティ研究会報告において、「(生活地域、特定の目標、 特定の趣味など)何らかの共通の属性及び仲間意識を持ち、相互にコミュニケーションを行っているような集団(人々や団体)。この中で、共通の生活地域(通学地域、通勤地域を含む)の集団によるコミュニティを特に『地域コミュニティ』と呼ぶとし、地域コミュニティーという名称が使われるようになった。
2013 年の総務省調査によると298,700団体あり、 2008年の調査より若干増えているが、これはマンション等の住民による自治会増におるものと思われる。また2008年の全国調査では、約4分の3の自治会が90%以上の加入率であった。しかしながら現在では、岐阜市の加入率は、2018年4月で61.3%まで低下している。
『地域再生と町内会・自治会』自治体研究社2009によると、「原則として、一定の地域的区画において、そこで居住ないし営業する全ての世帯と事業所を組織することを目指し、その地域的区画内に生じる様々な(共通)の問題に対処することを通して、地域を代表しつつ、地域の(共通)管理に当たる住民自治組織」と言われている。
内閣府調査「2004・H16 国民生活白書、地方公共団体へのアンケート結果。上位10位」は
以下の通りである。
1)住民相互の扶助や住民自治の拡充のため
2)地域のまちづくりを進める主役として
3)コミュニティ組織の中核的な主体として
4)防災活動や地域の安全確保の担い手として
5)地域の人々の親睦や精神的なまとまりのため
6)行政の計画・施策に住民の意見を反映させるため
7)行政からの事務連絡のため
8)環境美化、環境保全の担い手として
9)廃棄物・リサイクル活動の担い手として
10)地域福祉の担い手として
自治会に代わる地域組織として提案された「コミュニティ」政策が推進せられた。
1971・S46 から1973の3ヶ年で概ね小学校区を範域として83ヶ所のモデル・コミュニティ地区が指定。1983・S53から85年の3ヶ年で147ヵ所の推進地区の設定された。
1980・S55 後半から1990・H2年代初頭はバブル景気によって再び経済優先社会の中で、地域住民の価値意識も変化し、連帯感も希薄化してきた。
1990から92年の3ヶ年で141ヵ所のコミュニティ活性化地区が設定した。「まち美」や自然環境、商店街の活性化などを盛り込んだ地区まちづくり計画の策定、コミュニティ組織・活動を強化された時代であった。。
ボランティア(NPO)元年
行政支援もNPOに傾斜。相対的に地域コミュニティの位置づけが弱体化した時代であった。
地域コミュニティ政策を推進した。(2005・H17 地方自治法改正「地域自治区」制度)
2000年代 超高齢社会・人口減少・急激な経済の衰退、地方財政危機の時代を迎えたことが背景にあり、その打開策ともいえるが、合併のための動きという面が大きい。
それは、地域問題の解決方針を提案する地域住民組織が作成する自主政策と、それに対応して行政組織が作成する公共政策(環境政策、福祉政策、農業政策、施設整備政策等々)の総合によって地域経営がなされるようになることである。
そして、将来的には、まちづくり行財政権限(まちづくりに関する地区計画権と予算執行権限)の移譲。提案権・決定権・執行権が結びついてこそ地域分権が成り立つといえよう。
しかしここで、悩ましい問題が。平成21年民主党政権が樹立したが、この民主党政権下の政策が「自治基本条例」であり、菅直人元首相、仙谷元官房長官ら民主党幹部らが信望する松下圭一法政大名誉教授の松下理論を自治総合研究所や自治労が中心となって、「自治基本条例」を推進してきたのである。
当然現政権である自民党は、批判的立場にある。自治労などが主張する松下理論、「補完性の原理」国や自治体は市民の「信託」によって成り立つ、「複数信託論」市民が順次、市町村→県→国→国際機構へと「補完」しながら「複数信託」とすることは、国家を否定し、憲法や地方自治法を逸脱した危険な考えであるという立場である。
平成の市町村合併で私自身、柳津町や洞戸村に関わり、印象深かったことは、町会議員、村会議員が10数人ずつなくなり、それぞれ合併後に市会議員一人になったことがある。それに伴い人件費や必要経費が約2億円近く削減された。
「自治基本条例」の取組は、将来的にはたして市議会などを必要とするのか。岐阜市はどういう方向へ進むのだろうか。いや我々は、どこへ行くのか、自己決定しなければならない。自民党はこの事に否定的と言えるが。
まずは、住民の過半数以上の加入による共同活動と規約に基づく民主的な運営、住民合意を基礎にした意志決定が常に図られている組織の形成が必要であり、我々の目指す次の段階と言えましょう。
そして来るべき時に真の地域分権のコミュニティが形成されよう。そのためにこそ、長年実社会で様々な体験や取組みをした英知や技術知識を有する60代70代80代の高齢者が市民活動、地域活動としてまちづくり協議会に取組み、熟成したコミュニティーを形成して、まちづくり行財政権限(まちづくりに関する地区計画権と予算執行権限)の移譲、提案権・決定権・執行権を有する地域分権の理想の実現に向けて取組みたいものである。
今、終の棲家として地域で生活していると、地域課題はまさに難問山積である。これは、我々が社会人として最後の生涯を賭けるべき命題だと私は考える次第である。人生最大の課題、難問が我々の前に横たわっているのである。この「まちづくり協議会」への取組みこそその一丁目一番地といえる。決して避けて通れぬ道である。
この人生最後の難関に、社会人として苦労を共にした我々老兵たちが共に手を携えて、未来の孫子の為にも難問解決への新たな道筋を切り開いていかねばならないと強く思う今日この頃である。
「我々高齢者は、人生の集大成を賭けて、人生最大にして最終究極の課題として、我々を生み育んでくれた、終の棲家であるこの地域の課題解決に取組もうではありませんか。長年、苦労して社会人として培った経験・技術・英知の限りを尽くして。安全安心で、持続可能な社会の形成を目指して。」
大統領就任演説(1961年) ジョン・F・ケネディ
「米国民の同胞の皆さん、あなたの国があなたのために何ができるかを問わないでほしい。 あなたがあなたの国のために何ができるかを問うてほしい。
世界の市民同胞の皆さん、米国があなたのために何をするかを問うのではなく、われわれが人類の自由 のために、一緒に何ができるかを問うてほしい。」
文化史学者 アーノルド・トインビー
彼の「歴史の研究」の史観の中心点は、凡ての文明は、何らかのチャレンジにレスポンス(反応・応答)した結果成立してきた。このレスポンスの最重要の一点は、いかにレスポンスするかを決める自己決定にある、と言う。
マルクス・ガブリエル「新実存主義」
人間は自分を物理的世界から区別しようと試みるなかで、多様な心的語彙を生み出している。これらの語彙が形成する「外面に依存する現象の領域」は、ヘーゲル的に「精神」と名付けられ、その自立性が強調される。ガブリエルが自分の立場を「新実存主義」と名付けるのは、人間が自らを概念化することと行為することが密接に結びついている自己決定的存在であることを意味している。