「38年間の教職を終えるにあたり」宮川誠　元岐阜中央中学校長、現岐阜市立岐阜特別支援学校長

38年間の教職を終えるにあたり

　長良の橋から北へ22㎞、旧山県郡美山町で生まれ育った私にとって、この地は憧れの場所でした。幼い頃は、年に数回、親に連れられ岐阜公園のライオンを見たり、丸物百貨店へ行ったりするのが一番の楽しみでした。始めて自分たちだけで遠出をしたのは中学1年の時、バスに揺られて訪れたのも岐阜公園でした。記念にお城の絵柄のペナントを買いました。下宿生だった高校時代は、旧県立図書館に足を運び、山登りをしていた大学時代は河原で40㎏の石をザックに詰め、金華山に登りました。

　歳月は流れ、伊奈葉神社で名前をいただいた二人の娘も岐阜を離れました。しかし、長良川の花火大会に合わせて毎年帰省をしてくれます。

　そんな思い出多きこの地に、心ときめかせて赴任したあの日の事は、今も鮮明に覚えています。在任期間は、僅かでしたが本当に幸せな2年間でした。地域に生きる皆さんの温かさに触れ、その心を受け継ぐ子どもたちの逞しさに触れ、コミュニティースクールの大ファンになりました。「狂俳」の文芸復興に関わらせていただく機会も得ました。

　この地で退職を迎える願いはかないませんでしたが、今も、金華山を望む度、この地を通る度、懐かしさとともに、お世話になった皆さんのお顔が思い出され、温かな気持ちに浸っています。本当にありがとうございました。

　皆様のご健勝と、この地の発展を祈念いたしますとともに、また、お目にかかれますことを楽しみにしています。

元岐阜中央中学校長
現岐阜市立岐阜特別支援学校長
宮川 誠